家族信託の危険性と回避

家族信託の危険を回避する方法

家族信託の危険性についてご案内致しましたが、如何でしょうか。家族信託を利用することに危険性があるなら利用しない方が良いのではないかと思われたかもしれません。
ただし、これまでご紹介した危険性については、いずれも回避あるいは最小限にすることが可能です。以下、ご案内致します。

受託者の恣意的な信託契約を防ぐには

受託者の恣意的な信託契約組成を防ぐには、司法書士等資格者に依頼することが重要です。司法書士等は、得意とする分野がその先生により異なることには注意が必要ですが、家族信託に精通している先生であれば、信託契約は、一義的には委託者のために行うものであるという認識をお持ちのはずですので、受託者の恣意的な契約に応じることはないでしょう。委託者と受託者の関係性や受託者の応対、希望される信託契約の内容等から、違和感や客観的な委託者(受益者)のリスクを懸念することとなれば、委託者本人に直接確認(場合によっては、受託者抜きで個別に)を取ってくるはずですので、委託者をないがしろにするような、受託者の恣意的な契約締結は防げるでしょう。

受託者の恣意的な財産管理を防ぐには

家族信託の契約段階における予防対応が必要です。具体的には、信託監督人を就け、かつ、自宅不動産の売却等重要な行為については、信託監督人の承諾を要することとし、また、信託監督人に受託者の解任権を付与するといったことが挙げられます。受託者の権限に法的制限を掛けることで、回復困難な事態を防ぎ、日常的業務についても、第三者の監督がある形を取ることで、受託者の恣意的な財産管理を防ぐことができるでしょう。ただ、お子様が受託者となるケースがほとんどの家族信託において、受託者業務を第三者によって監督させることには、抵抗を持たれる方も数多くいらっしゃるでしょう。この点につきましては、相続における潜在的な利害対立の構造にあることと、裁判所の関与する後見制度ですら横領等不正があることから、リスク回避の意味で第三者の関与が望ましいと説明できますし、別の観点からは、受託者自身の適切な業務を支援し、身の潔白を証する存在になるとの説明も出来ます。また、税務通達や判例構築、銀行等対応変化といった外部要因に伴う信託契約内容のメンテナンス作業についても能動的な支援を期待できるため、恣意的な財産管理とは別の問題の、予期せぬ危険を回避する効果も期待できることから、現状の家族信託においては、必要な措置と言えるでしょう。

「作って終わり」の危険性を防ぐには

「作って終わり」の危険を回避するためには、この文言からも推測できるかと思いますが、作って終わりではない、「事後支援を含む家族信託サービスを利用すること」が重要です。
「作って終わり」と、「作った後も適切な信託運営支援に責任を持つ」、では、そもそもの信託組成への姿勢に変化が生じます。悪く捉えれば、作って終わりのサービスですと、「後は知りません。自己責任です」と突き放してしまうようなものですから、作ったものについて責任を負わせる内容の方が安全性は高いであろうということは、感覚的にもお分かりいただけるのではないかと思います。
事後支援の態様は、受益者代理人、信託監督人、相談等支援と3種が考えられるのですが、費用対効果を考えれば、信託監督人という仕組みが良いでしょう。
受益者代理人は、業務負荷が重くなりすぎる可能性があり、これを受けるには、相応の費用をいただかなければ困難であることが想定されます。相談等支援ですと、強制力に欠けてしまうことから、実効性に乏しく、また、受動的対応になることが想定されるため、事後支援としては、軽すぎると考えます。一定の強制力を有し、信託契約内容によりその強化が可能で、日常的には左程の業務負荷が掛からないことからコストも比較的安い。信頼関係を前提とした家族信託における事後支援は、信託監督人が最も適していると考えます。
自社商品販売目的の家族信託の危険を回避するには
家族信託は、直接、司法書士に相談依頼すること。危険回避方法はこれに尽きます。
不動産関連や金融機関等に相談ないし依頼をしても司法書士や弁護士と接触することとなりますが、こうした企業を介して接触した司法書士や弁護士は、自ら顧客の悩みに寄り添って解決手段を提示するという過程を踏むことが事実上できません。司法書士や弁護士は、独立した存在であり、企業の言いなりになってはならないため、本来、このようなことはあってはならないのですが、ビジネス上、これを徹底してしまうと、企業からの紹介が来なくなることから、作られたスキームに従わざるを得ないのが実態です。また、直接、「司法書士」にとしているのは、不動産を信託財産とする家族信託は、登記手続きを伴い、これに精通するのは司法書士のみであるからです。

司法書士 飯田 真司

<strong>飯田 真司</strong>

世田谷区 家族信託・相続の窓口の司法書士飯田真司と申します。大学在学中はお笑い芸人を目指していたものの、挫折し、司法書士の道へと方向転換致しました。司法書士として頑張りつつも、たまに漫才イベントを企画しています。

専門分野・得意分野
家族信託、税務、財産活
資格
  • 司法書士(法人登録番号:11-00552、登録番号:6918)
  • 簡裁代理(認定番号:1401068)
所属団体名
東京司法書士会
所属事務所
司法書士法人クラフトライフ
所属事務所の所在地
東京都世田谷区用賀4丁目28番21号

活動実績・専門分野

財産の管理・承継に関するリスクマネジメントとその手続きを専門分野とする。司法書士の専門である法務だけでなく、税務、財産活用等多角的な視点による提案力が強み。大手保険代理店、医療法人、社会福祉協議会等、セミナーや勉強会実績多数。

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私たちは、司法書士と税理士を中心とする、相続や家族信託のプロフェッショナルです。「何をすればいいか分からない」といった段階からご相談頂けますので、お気軽にご相談下さい。

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