土地相続とは?司法書士がわかりやすく簡単に解説!
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登記簿上の地目が農地の相続と処理
農地は、他の土地と区別されその取り扱い方には特定のルールがあります。登記簿上で「農地」に区分されている土地の相続とその処理方法について、解説します。
農地の相続とは
農地の相続とはその名のとおり、被相続人が所有していた農地を引き継ぐことをいいます。農地も財産の一つ
に該当しますので、引き継いだ時は当然相続税が発生します。
農地に対する相続税はどう計算する?
農地の相続税を計算するには、最初に農地の評価をします。
農地を評価する手順は以下のとおり。
①農地の区分を確認する(国税庁のホームページにある倍率表で確認可)
②各区分の評価方法にそって農地を評価する
農地の区分と評価方法を一覧にまとめました。
農地の区分
評価方法
純農地
固定資産税評価額×倍率
中間農地
固定資産税評価額×倍率
市街地周辺農地
市街地農地と想定した場合の価格×80%
市街地農地
・宅地比準方式(市街化区域以外の地域):(宅地と想定した1㎡あたりの評価額-造成費(1㎡あたり)×地積
・倍率方式(市街化区域内にある倍率地域):固定資産税評価額×倍率
例えば、相続した農地(地目は「田」)が「純農地」に区分されたとしましょう。
純農地の評価は、倍率方式を使います。
◯設例
・相続した農地(地目):田
・農地区分:純農地
・固定資産税評価額※1:10万円
・倍率※2:46
※1 納税通知書内の「課税明細書」または固定資産税評価証明書で確認可能
※2 評価倍率表内の「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」で確認可能
設例における農地を評価してみましょう。
・倍率方式の算式:固定資産税評価額×評価倍率
・農地の評価計算:100万円×46=4,600万円
設例では、相続した農地の評価額は4,600万円でした。これを他の相続財産に加えて相続税を計算します。
農地を相続した場合に必要な手続き
農地を相続した場合に必要な手続きは、相続登記と農業委員会への届出です。後者は農地管理を目的とした組織で、農地を相続した人は、相続したことを知った日から10か月以内に同委員会へ届出することが義務付けられています。
農業委員会への相続の届出には、以下の書類を準備します。
・届出書
・登記簿謄本(相続登記済みであること)
農業委員会は、各市町村に設置されています(ただし、小規模な自治体では設置されていないところもあります)。手続きの際は、最寄りの市町村に設置の有無を確認しましょう。なお、届出は無料です。
農地を相続したくない場合にできる選択は?
農地を相続したくない場合は、以下の方法で処分することを考えましょう。
①相続放棄
相続放棄とは、相続人が財産を引き継ぐ権利を放棄することです。被相続人が亡くなってから3か月以内でかつ財産に手を付けていないのであれば、相続放棄が可能です。ただし、いったん相続放棄をすると撤回できないうえ、プラスの財産も受け取ることができなくなります。相続放棄をした場合としなかった場合のどちらに大きなメリットがあるかを事前に検討してから判断するとよいでしょう。
②売却
農地を処理する方法の一つとして、売却が挙げられます。ただし、農地は農地法に守られているため、売却には制限があります。例えば、農地として売却する場合は、農業を営んでいて必要な機材をそろえているなどの要件を満たした人のみが購入可能です。
農地を宅地などに転用してから売却することもできます。ただし、転用後の事業計画を具体的に立てたうえでないと、売却を認められる可能性はかなり低いでしょう。
いずれにしても、売却する際は農地委員会へ届出をして許可を得る必要があります。