土地相続とは?司法書士がわかりやすく簡単に解説!
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自宅や賃貸不動産の相続
自宅や賃貸不動産の相続で重要なのは、土地の評価です。土地の評価が正しくないと、正確に相続税の計算ができなくなります。
土地相続における土地の評価方法
土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。路線価がある場合は前者、なければ後者を用いて計算しますが、路線価の有無は国税庁のホームページで確認できます。
計算式
関連情報
路線価方式
路線価×地積×補正率
路線価の確認先
倍率方式
固定資産税評価額×評価倍率
評価倍率表の確認先
①路線価方式を用いる際の留意点
所有している土地は、その形状や立地条件などによって利便性が下がることがあります。その点を考慮しているのが、補正率と呼ばれているものです。
◯主な補正率の種類
・奥行価格補正率:奥行きが長すぎる、または短すぎる土地に適用される
・間口狭小補正率:間口が狭い土地に適用される
・奥行長大補正率:間口が狭く奥行が長すぎる(間口の2倍以上の長さ)土地に適用される
・不整形地補正率:形状がいびつな土地に適用される
補正率には、それぞれ算式があります。最初に補正率を計算してから上記の算式に当てはめて、最終的に土地の評価額を算出します。
②倍率方式を用いる際の留意点
倍率方式の計算で参考にする「固定資産税評価額」は、毎年4月1日に更新される固定資産税評価証明書にて確認可能です。固定資産評価額自体は、3年に1度の「評価替え」によって変化しますが、最新の固定資産評価証明書を取得し、相続を開始した年度の評価額を確認しましょう。
自宅(戸建て)を相続した場合の評価方法
自宅を相続した場合は、土地と家屋を別々に評価します。
①土地の評価方法
土地の評価方法は、国税庁のホームページで路線価のある・なしを確認してから、路線価方式または倍率方式で計算します。
◯路線価方式で計算する場合(例:路線価12万円、地積200㎡、奥行き9m)
・路線価方式の算式:路線価×地積×奥行価格補正率
・土地の評価額:12万円×200㎡×0.97※=2,328万円
※奥行価格補正率表を参照。
◯倍率方式で計算する場合(例:固定資産評価額 3,000万円、評価倍率 1.1)
・倍率方式の算式:固定資産税評価額×評価倍率
・土地の評価額:3,000万円×1.1=3,300万円
②家屋の評価方法
・計算式(自宅):固定資産税評価額×1
自宅として使用していた家屋の評価額は、固定資産税評価額と同額です。例えば、固定資産税評価額が1,500万円であれば、家屋の相続税評価額も1,500万円です。
賃貸不動産(戸建て)を相続した場合の評価方法
賃貸不動産の場合も、土地と家屋をそれぞれ評価します。
①土地(貸家建付地)の評価方法
・計算式:自用地評価額※1×(1-借地権割合※2×借家権割合※3)
※1 路線価方式(路線価×地積)または倍率方式(固定資産税評価額×倍率)のいずれかで算出される、自己使用する土地の評価額。
※2 地価に占める借地権の割合分の評価額。30~90%に設定されていて、10%刻みで7段階の評価がある。国税庁の「路線価図」で確認できる。
※3 賃貸不動産を相続した際の相続税評価額に占める借家権の割合分の評価額。全国一律30%。
以下の設例で、土地を評価してみましょう。
◯設例
・自用地評価額:1億円
・借地権割合:60%
・借家権割合:30%
1億円×(1-60%×30%)=8,200万円
②家屋の評価方法
・計算式:固定資産税評価額×(1-借家権割合)
例えば固定資産税評価額が1億円で、借家権割合が30%だった場合の家屋の評価額は、7,000万円です。
1億円×(1-30%)=7,000万円
貸家建付地として計算するのは、賃借人がいることが前提です。もし、相続開始時に賃借人がいない場合は、自用地・自用家屋としてそれぞれ評価します。
マンションやアパートを相続した場合の評価方法
賃貸していたマンションやアパートを相続した場合は、以下のように計算します。
・土地の評価額:自用地評価額×(1-借地権割合×賃貸割合※4)
・家屋の評価額:自用建物評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
※4 建物の延べ床面積に占める、賃貸されている床面積の割合。
設例をもとに計算してみましょう。
◯設例
・自用地評価額:3億円
・自用建物評価額(マンション):2億円
・部屋数:30㎡×20室
・借地権割合:60%
・借家権割合:30%
・賃貸割合:80%(480㎡/600㎡)
※20室中4室が空き室
・土地の評価額:3億円×(1-60%×80%)=1億5,600万円
・家屋の評価額:2億円×(1-60%×30%×80%)=1億7,120万円