家族信託のコーディネーターとは?他業種との比較と注意点

家族信託コーディネーターの詳しい解説と注意点

弁護士、司法書士、民事信託士、家族信託コーディネーターについて、それぞれの概要を説明させて頂きました。これを踏まえて、家族信託の相談先を資格別にみるとすれば、「民事信託士の資格を持つ弁護士又は司法書士」が家族信託の相談先として適しているというのが合理性のある結論のように思えます。
では、家族信託コーディネーターに家族信託を相談することはどうでしょうか。

家族信託相談の敷居が低い

弁護士や司法書士のような専門家は、その資格故の安全性はあるものの、相談の敷居が
高く、気軽に相談とはいかないというのが一般的な感覚かもしれません。
この点、家族信託コーディネーターのような、専門家ではない業種であれば、相談がし
やすいといった側面があるかもしれません。

家族信託に関する能力の裏付けがない

家族信託コーディネーターは、お金を払って研修を受けさすれば、誰でもその資格を取
得できてしまうため、その能力について疑問が生じてしまいます。
弁護士や司法書士、信託銀行でキャリア積んで独立したような人材、こうした専門的能力を有する人が家族信託コーディネーターとして業務を行っているのであれば、能力の裏付けがあると言えるのですが、こうした人は、家族信託コーディネーターとして仕事を行いません。弁護士として、司法書士として、信託銀行でのキャリアを基にしたコンサルタントとして、仕事を行います。
家族信託コーディネーターを前面に出すというのは、それ以外に、自分の能力を証明する肩書やキャリアがないということの証左と言えてしまうため、家族信託コーディネーターを名乗る人=能力の裏付けがないと言えます。但し、あくまで一般論であり、弁護士や司法書士といった資格も、信頼に足るキャリアもない人であっても、優秀な人はいますので、一概には言えないということは補足しておきます。

支払先が多くなり、報酬総額が見えない

家族信託コーディネーターに相談し、家族信託の依頼をした場合でも、家族信託サービスは、法律相談、契約書作成、登記手続きと、司法書士ないし弁護士でなければ、法律的に行うことができない業務が含まれるため、必ず、弁護士や司法書士にも依頼しなければならないこととなります。
例えば、最初から司法書士に家族信託を相談、依頼したのであれば、司法書士のみに費用を支払えばいいのですが、家族信託コーディネーターに依頼した場合には、別途弁護士や司法書士の費用が生じてしまいます。
こうして支払先が多くなると、報酬の総額が見えにくくなってしまいます。家族信託コーディネーターとして家族信託サービスを提供している事業者のWEBサイトを見ると、自社のコーディネーター報酬は記載があるのですが、弁護士や司法書士の報酬は、別途掛かりますくらいしか書いておりません。WEBサイトでは安く見えでも、実際には高くなるということが生じ得ますので注意が必要です。

不動産や保険等販売の目的に注意が必要

家族信託コーディネーターは、お金を払って研修を受ければ誰でも取得可能な資格です。そのため、不動産や保険、その他金融商品等の営業がこれを名乗り、「家族信託の相談を受けます」というのをフックに、不動産や保険等の営業をしている事例がございます。
こうしたケースでは、不動産や保険等の販売目的が絡んでしまい、最適な提案が出来なかったり、こうした家族信託コーディネーターを介して相談した弁護士や司法書士も、紹介元である家族信託コーディネーターに配慮してしまい、能力を発揮できないということもありますので注意が必要です。