家族信託は必要ない?その考え方と具体例

家族信託が必要とまでは言えないケース

家族信託が「必要なケース」、「利用出来ないケース」のいずれにも該当しないケースが、こちらの必要とまでは言えないケースに該当します。
必要とまでは言えないというのは、二つの意味があります。一つは、「費用対効果の問題から必要とまでは言えない。」もう一つは、「家族信託以外の方法による対応も可能なため、必要とまでは言えない。」の意味です。それぞれ見ていきましょう。

費用対効果の問題から必要とまでは言えないケース

小見出し1 所有不動産がないケース。
不動産所有がなく、かつ、将来的にも本人名義で不動産購入する予定がない場合は、家族信託を利用する理由は乏しくなります。預金凍結を予防する意味での必要性はありますが、そのための方法としては、代理人届がございます。代理人届は金融機関によりその内容と名称ともに異なりますが、予め指定したご家族が、本人の代わりに預金処理出来る仕組みで、無料で利用可能です。他にも、家族信託ではなく、預金の管理や各種支払い等を委任する、財産管理契約という方法もございます。(財産管理契約は金融機関が認めていないのですが、管理対象財産を金銭世田谷区 家族信託・相続の窓口万円などとし、受任者口座に預かり金として預けてしまえば、受任者が処理可能です。)財産管理契約の方が、家族信託よりもシンプルで、専門家報酬も低く済むでしょう。

小見出し2 自宅があるが、その売却も大規模修繕や建替え等の予定もないケース
自宅不動産の所有があっても、本人又はその配偶者(配偶者が不動産を承継するとした場合)の代において、売却やリフォーム、建替えといった行為の想定が全くない場合には、家族信託利用の理由は乏しくなります。
預金凍結の備えは必要性があると言えますが、先のケースでご説明した通り、代理人届等がございます。保有不動産に係る大きな取引予定がない以上は、敢えてそのための備えをしておく必要はないでしょう。但し、本人及び配偶者の平均余命が10年以上ある等、相続発生までに長期間掛かるような場合や、大きな地震による損壊リスクを加味されるのであれば、念のため備えておくのも宜しいかと思います。
また、所有不動産に賃貸アパート等がある場合には、賃貸経営という継続的法律行為を伴う業務が必要であるため、不動産に係る処分行為想定の有無に関わらず、家族信託を利用する理由がございます。
自宅売却等の必要性が本人及び配偶者の代において必要ないかの判断は、平均余命+αの期間までの、不動産を生活原資とする必要性が生じるか否かの検討が重要です。介護施設生活をせざるを得ない状況となることも踏まえ、最悪のシナリオにおいても、金融資産が足りるかについて検討してみましょう。

さて、二つのケースを挙げましたが、要は、預金凍結については、家族信託よりも簡易でコストの掛からない方法がある以上、「賃貸不動産がある場合」、「自宅不動産のみだが、本人及び配偶者(配偶者が不動産を承継するとした場合)の代において、不動産の売却や建替え・リフォーム等の可能性がある場合」が、家族信託利用の意味があるケースで、それ以外の場合は、コストを掛けてまで利用することに疑義があるということです。

家族信託以外の方法による対応も可能なため、必要とまでは言えないケース

「賃貸不動産がある場合」、「自宅不動産のみだが、本人及び配偶者(配偶者が不動産を承継するとした場合)の代において、不動産の売却や建替え・リフォーム等の可能性がある場合」のいずれかに該当する場合には、資産凍結対策を行っておく理由があります。それは、賃貸物件の入退去、修繕、リフォーム、管理会社との契約、建物明渡しや滞納家賃回収といった賃貸トラブル時の訴訟対応及び弁護士や司法書士依頼等、賃貸経営には継続的な判断能力が必要で、自宅不動産の売却や建替え、大規模修繕、賃貸化リフォームにも、その時点における判断能力が必要となるため、認知症等判断能力の減退ないし喪失が生じてしまうと、これらを行えなくなる可能性があるからです。
ただ、備えの方法としては、家族信託以外にも、任意後見や生前贈与もございます。コストや特徴などを比較した上で、家族信託が最も適しているとお考えになられるようであれば、家族信託をご利用されれば良いのであり、家族信託が必要か否かではなく、選択の問題となるため、必要とまでは言えないこととなります。

司法書士 飯田 真司

<strong>飯田 真司</strong>

世田谷区 家族信託・相続の窓口の司法書士飯田真司と申します。大学在学中はお笑い芸人を目指していたものの、挫折し、司法書士の道へと方向転換致しました。司法書士として頑張りつつも、たまに漫才イベントを企画しています。

専門分野・得意分野
家族信託、税務、財産活
資格
  • 司法書士(法人登録番号:11-00552、登録番号:6918)
  • 簡裁代理(認定番号:1401068)
所属団体名
東京司法書士会
所属事務所
司法書士法人クラフトライフ
所属事務所の所在地
東京都世田谷区用賀4丁目28番21号

活動実績・専門分野

財産の管理・承継に関するリスクマネジメントとその手続きを専門分野とする。司法書士の専門である法務だけでなく、税務、財産活用等多角的な視点による提案力が強み。大手保険代理店、医療法人、社会福祉協議会等、セミナーや勉強会実績多数。

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