相続順位とは?司法書士がわかりやすく簡単に解説!

遺留分について簡単に知っておこう

遺留分は、相続でよく用いられている言葉です。法定相続分との違いなど遺留分について簡単に知っておくだけでも、遺産分割の話し合いを進めやすいでしょう。遺留分とは何か、相続順位とどのように関係があるのかなどについて見てみましょう。

遺留分とは

遺留分とは簡単に言うと、法定相続人が最低限受け取ることのできる遺産割合のことです。例えば、被相続人が「遺産の全額を同居していたパートナーに相続させる」との遺言書を遺した場合、被相続人の子は遺産を受け取れなくなります。こうした事態を避けるために、被相続人の配偶者と子、父母には、遺留分を主張する権利が認められています。

遺留分の割合

個別の遺留分割合の計算式は次の通りです。
〇 法定相続人が直系尊属のみ場合は、法定相続分×3分の1
〇 その他の場合は、法定相続分×2分の1
なお、兄弟姉妹は、相続人となる場合であっても、遺留分は認められておらず、甥姪も同様となります。

相続人の構成
遺留分
各相続人の遺留分

配偶者のみ
1/2
1/2

子のみ
1/2
1/2÷子の数

直系尊属のみ
1/3
1/3÷直系尊属の人数

配偶者+子
1/2
配偶者 1/4

子 1/4÷子の数

配偶者+直系尊属
1/2
配偶者 2/6

直系尊属 1/6÷直系尊属の人数

遺留分侵害額請求とは

相続人は遺留分を侵害された場合、侵害された人に対して遺留分を請求できます。これを遺留分侵害請求といいます。例えば、「遺産の全額を同居していたパートナーに相続させる」との遺言書を被相続人が遺した場合、被相続人の子は、同居していたパートナーに対して遺留分の支払いを求めることができます。

遺留分侵害額請求ができる期間

遺留分侵害額請求ができるのは、相続が開始し、かつ、遺留分が侵害されたことを知った日から1年間です。
例えば、相続があったことは知っていたものの、遺留分を侵害されている事実を知ったのが、相続開始を知ったときから5年後であったとしても、遺留分侵害額請求は可能です。ただし、相続を開始してから10年が過ぎると、どのような理由があっても遺留分侵害額請求は出来なくなる点には注意が必要です。

遺留分侵害額請求の手続きの流れ

遺留分侵害額請求は、以下のステップを踏みます。
遺留分についての話し合い
遺留分を侵害した相手と、遺留分について話し合います。ただ、話し合いでの解決の見込みが薄い場合や、請求可能期間が迫っているような場合には、このステップは飛ばして次に進みます。

郵送による遺留分の請求
①で遺留分の支払いが合意に達しない場合若しくは飛ばして進める場合は、配達証明付きの内容証明郵便で相手に遺留分の請求書を送ります。配達証明付きの内容証明郵便では、送達の事実と、送達した郵便物の内容の証明が可能となります。相手方に「知らない」「届いていない」と言わせないために必要となります。遺留分侵害額請求の時効を止められます。
なお、配達証明付き内容証明郵便により、時効により遺留分減殺請求が出来なくなることは防げます。正確には、配達証明付き内容証明郵便である必要はないのですが、相手方に時効消滅を主張させないための証拠を残す意味で必要となります。

③遺留分調停の申立て
②を済ませても遺留分が支払われない場合は、家庭裁判所に遺留分調停の申立てを行います。調停委員を介して相手との話し合いが行われ、合意に至ると合意事項を盛り込んだ調停調書が作成されます。

④遺留分侵害額請求訴訟
③で合意に至らない場合は、遺留分侵害額請求訴訟を提起し法廷で争うことになるでしょう。和解が成立すれば訴訟は終わりますが、判決に不服という場合は控訴することも可能で、事案によっては何年も争うこともございます。