相続税とは?税理士がわかりやすく簡単に解説!
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相続する前にできる節税対策
相続税をできるだけ抑えたいのなら、相続をする前から節税対策に取り組むのがベストです。具体的な節税対策を以下にご紹介します。
贈与税の負担を避けた方法で贈与する
相続時の遺産額を下げることは、相続税を抑えるポイントの一つです。遺産額額を下げるには、財産を子や孫などに贈与することが賢明ですが、贈与税には気をつける必要があります。
贈与税は、被相続人が生前に贈与した財産に対してかかる税金です。贈与した財産が高額になるほど税率は上がり、3,000万円以上になるとかける税率は55%になります。
・引用:『No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)』
ただし、贈与税を抑えられる制度を利用することによって、贈与税と相続税を軽減できます。
贈与税を抑える特例として挙げられるのが、
①相続時精算課税制度
②暦年課税制度
の2つです。
①相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、生前受け取った財産にかかる税金は贈与時ではなく、相続時に相続税として支払う制度です。通常贈与税の控除額は年間100万円以下ですが、相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円+年間110万円以下が非課税となります。遺産の総額が基礎控除額を下回った場合の相続税は、0円です。
②暦年課税制度
暦年課税制度とは、年間110万円以下の財産は非課税となる制度のことです。
①と比べると控除される額は低いと感じるかもしれませんが、時間をかければかけるほど節税できる額は大きくなります。また、この非課税枠は贈与する人1人につき年間110万円ですので、贈与する子や孫が多い場合も、節税効果を感じられるでしょう。注意点としては、贈与者が亡くなる前の3年以内(2024年1月1日からは7年以内)の贈与分は、相続財産として相続税の計算に加味される点です。
非課税枠を利用して納税資金を確保する
相続税には利用する特例によって、非課税枠が設けられているものがあります。非課税とされた分を納税資金にすることで、相続税対策につなげることが可能です。
例えば、生命保険には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。非課税枠内でおさまるような生命保険に加入すれば、税金を差し引かれることなくお金を遺せるでしょう。また、生命保険の非課税枠は、500万円以上と高額になるため、まとまったお金を納税資金として確保するのに適しています。ただし、生命保険の非課税枠を利用するには、被相続人が自分で保険料を支払っていることと、受取人が相続人であることが前提です。
特例を利用して財産の評価額を下げる
相続税の計算は、財産評価をもとにしています。そのため、評価額が高くなればなるほど相続税も高くなります。特例を利用して評価額を下げることで、減税につなげられます。小規模宅地の特例は、要件を満たした宅地に対して最大80%の減額できる制度です。例えば、通常の計算で5,000万円と評価された宅地でも、小規模宅地の特例を適用することによって1,000万円の評価額に抑えることが可能となるのです。
ただし、小規模宅地の特例には、「被相続人と同居していた家族のみが申請者として認められる」「相続時精算課税制度との併用はできない」などの制限がある点には留意しましょう。
なお、小規模宅地等の特例の計算例については、別記事に書きましたのでそちらをご参考ください。
⇒『相続税の早見表の見方と注意点』