代襲相続とは?専門家がわかりやすく簡単に解説!

代襲相続は数次相続とは異なる

代襲相続と数次相続はしばしば混同されがちですが、両者の概念は異なります。数次相続とはわかりやすく言いますと、ある相続(1次相続)が終わらないうちに相続をする予定だった人が亡くなり、新たな相続(2次相続)が発生した状態のことです。

例えば、祖母が亡くなりその子である父が財産を相続しましたが、父は遺産分割や各種名義変更手続きが終わる前に亡くなってしまいました。この場合、祖母が亡くなったことによる相続(1次相続)と、父が亡くなったことによる相続(2次相続)の計2つの相続が発生している状態となります。代襲相続の場合は、父が他界していて祖母が亡くなった時点で孫が相続人となりますが、数次相続では母(父の配偶者)と子に財産を相続する権利が生じます。

数次相続の要件

数次相続において法定相続人になれるのは、通常の相続と同じです。
・配偶者
・第1順位:子、代襲相続人である孫
・第2順位:父母や祖父母
・第3順位:兄弟姉妹、代襲相続人である甥姪

数次相続の際の法定相続分と遺産分割協議

数次相続の法定相続分は、通常の相続と同じですが、やや複雑になります。設例で見てみましょう。
以下の図表をご覧ください。

令和3年に父が亡くなりましたが、その遺産分割、相続手続きを行わずに、父の相続人の一人である長女が令和4年に亡くなりました。
まず、父が亡くなった時点においては、長女は存命であり、父の法定相続人及び法定相続分は、母2分の1、長男4分の1、長女4分の1となります。
この状態で長女がなくなったことで、長女の持っていた父の遺産に対する法定相続分が、長女の法定相続人である、夫と孫Aに移ります。
そうすると、父の相続人は誰で、その法定相続分はどうなるかというと、次の通りとなります。
母 8分の4、長男 8分の2、夫 8分の1、孫A 8分の1。
遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりませんから、父の相続財産の遺産分割協議は、母、長男、夫、孫Aで行うこととなります。

ただ、父の遺産分割協議が整う前に、夫と孫Aが、長女を被相続人とする遺産分割協議において、父の遺産に対する法定相続分を夫が全て取得するとした場合には、孫Aの有していた父の相続財産に対する8分の1の権利は夫に帰属することとなり、父の相続に対する遺産分割協議は、母、長男、夫の3名で行うこととなります。長女の相続財産には、長女個人の財産と、父の遺産に対する相続権という財産があり、父の遺産に対する相続権を有する人が、父の相続に対する遺産分割協議を行うこととなるため、

相続税計算における数次相続の際の法定相続人の数

相続税計算において、法定相続人の数は、基礎控除や生命保険控除の金額に影響するため、とても気になることころです。数次相続において、法定相続人は何人して計算するかをご説明致します。
結論から言いますと、法定相続人の数は、相続が発生した時点をもって確定することとなります。
そのため、先の数次相続の設例における、父を被相続人とする法定相続人の数は、3名のみで、夫と孫Aは法定相続人の数には含みません。
なお、数次相続の際には、一定の要件の下、控除を受けることが出来ます。これを相次相続控除と言います。
相次相続控除とは、1次相続(設例の父の相続)と2次相続(設例の長女の相続)の相続人になった人を対象とした制度で、税金の二重払いを回避することを目的に、2次相続の際に一定の金額を差し引くことができます。
相次相続控除を利用するための要件は以下の通りです。
① 1次相続と2次相続の相続人であること
② 1次相続の時に相続税を支払っていること
③ 1次相続から2次相続までの期間が10年以内であること

設例に当てはめると、
・父の死亡が令和3年で長女の死亡が令和4年 ⇒ 上記③の要件を満たす
・夫と孫Aが、父と長女両方の相続人となる ⇒ 上記①の要件を満たす
残るは、父の相続の際に、相続税の支払いが発生し、これを収めていれば、相次相続控除の適用を受けることが可能となります

数次相続における相続放棄

数次相続における相続放棄は、通常の相続放棄とやや異なる点があります。1次相続と2次相続の相続人になった場合に考えられる相続放棄のパターンは、以下のとおりです。
①両方の相続を放棄する
②1次相続は引き継いで2次相続を放棄する
③1次相続を放棄して、2次相続を引き継ぐ
この中でできないのは、②です。なぜなら、2次相続で放棄した時点で1次相続も放棄したとみなされるからです。なお、数次相続の熟慮期間は、1次相続・2次相続とも「相続したと知った日から3か月以内」です。

司法書士 飯田 真司

<strong>飯田 真司</strong>

世田谷区 家族信託・相続の窓口の司法書士飯田真司と申します。大学在学中はお笑い芸人を目指していたものの、挫折し、司法書士の道へと方向転換致しました。司法書士として頑張りつつも、たまに漫才イベントを企画しています。

専門分野・得意分野
家族信託、税務、財産活
資格
  • 司法書士(法人登録番号:11-00552、登録番号:6918)
  • 簡裁代理(認定番号:1401068)
所属団体名
東京司法書士会
所属事務所
司法書士法人クラフトライフ
所属事務所の所在地
東京都世田谷区用賀4丁目28番21号

活動実績・専門分野

財産の管理・承継に関するリスクマネジメントとその手続きを専門分野とする。司法書士の専門である法務だけでなく、税務、財産活用等多角的な視点による提案力が強み。大手保険代理店、医療法人、社会福祉協議会等、セミナーや勉強会実績多数。

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