代襲相続とは?専門家がわかりやすく簡単に解説!
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代襲相続人と相続分
「誰が代襲相続人(代襲者)になるのだろう」「代襲者の相続分はどのくらい?」「遺産の分割は簡単にできるのだろうか」など、代襲相続に関する疑問は尽きないでしょう。代襲相続の基本情報を整理して、わかりやすくご紹介します。
代襲相続の要件
代襲者には、以下の人が該当します。
①被相続人よりも先に亡くなった、被相続人の子の孫
②被相続人よりも先に亡くなった、被相続人の兄弟姉妹の子(甥・姪)
仮に孫も亡くなっている場合は、孫の子(ひ孫)が遺産を引き継ぎます。これを再代襲といいますが、②では再代襲はされず、甥と姪で終わります。
代襲相続する人の法定相続分
法定相続分とは法定相続人に分配される遺産の割合のことで、民法で決められています。
代襲者の法定相続分は、上の代のそれと同じです。わかりやすい例えで言いますと、故人が遺した財産の1/4を子が引き継ぐ予定だった場合、代襲者も1/4を相続します。もし代襲者が複数いる場合は、1/4をさらに人数で分けます。
設例で考えてみましょう。 次の図表をご覧ください。
この場合、被相続人を父とする相続につき、法定相続人は、母、亡長男代襲相続人である孫Aと孫B、長女の4名となります。法定相続分は次の通りです。
・母(8分の4)):5,000万円
・孫A(8分の1):1,250万円
・孫B(8分の1):1,250万円
・長女(4分の1):2,500万円
なお、仮に、亡長男が存命であった場合には、母、長男、長女が法定相続人で、法定相続分は次の通りとなっていました。
・母(8分の4)):5,000万円
・長男(4分の1):2,500万円
・長女(4分の1):2,500万円
今度は、甥と姪が代襲者として遺産を引き継いだ場合を設例で考えてみましょう。
次の図表をご覧ください。
被相続人である妹が亡くなった時、既に兄は他界しているので、法定相続人は、妻と、亡兄代襲相続人である甥と姪になります。法定相続分は次の通りです。
・妻G(3/4):6,000万円
・甥I(1/8):1,000万円
・姪J(1/8):1,000万円
なお、仮に兄が存命であった場合には、妻と兄が法定相続人となり、法定相続分は次の通りとなります。
・妻G(3/4):6,000万円
・兄H(1/4):2,000万円
代襲相続合の遺留分割合
遺留分とは、法的に保障されている最低限得ることのできる財産の取り分のことです。
遺留分が認められるのは、
・配偶者
・父母または祖父母
・子
のみで、兄弟姉妹は含まれていません。また、代襲者のうち遺留分を請求できるのは孫やひ孫で、甥や姪が遺留分を請求することはできない点にも注意しましょう。
個別の相続人の遺留分割合は次の計算式によります。
〇直系尊属(親、祖父母)のみが法定相続人である場合:法定相続分×3分の1
〇上記以外:法定相続分×2分の1
例えば、法定相続人が、配偶者、子1名と孫2名であった場合、各自の遺留分割合は次の通りです。
法定相続分
遺留分割合(法定相続分×2分の1)
配偶者
8分の4
16分の4
子
8分の2
16分の2
孫
8分の1
16分の1
孫
8分の1
16分の1
代襲相続の際の相続税の基礎控除と生命保険控除
相続税の計算では、基礎控除の枠と、生命保険控除の枠が、法定相続人の数で決まっていますが、代襲相続人はどのようにカウントするのか、簡単に見てみましょう。
①基礎控除枠への影響
基礎控除枠は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で算出されます。代襲者も法定相続人の1人としてカウントされます。
②生命保険控除枠への影響
生命保険は、「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。代襲者も法定相続人の1人にカウントされます。
代襲相続人は、各自、法定相続人の1人としてカウントされます。そのため、代襲者が何人いても法定相続分は親のそれと変わりはありませんが、基礎控除額は増えます。例えば、祖父の遺産を亡くなった父の代わりに3人の孫が相続する時は、3人を加えた法定相続人の数をかけて基礎控除額を算出します。